「居心地の良い家」の不健全な都合の良さ。
以前にも触れたが、私は質問相談サイトが好きだ。
もっとも、「他人の不幸は蜜の味」だからでは決してなく、「自分の常識、感覚がいかに世間と、他人とかけ離れているか」を確認するためだ。
先日も、「あれっ、私の感覚ってそんなにおかしいのかな」といろいろ考えさせられるトピックを目にした。
概要は以下の通りだ。
- 投稿主は専業主婦の女性。
- 夫と小学一年生の娘がおり、夫は自営業を営む夫の両親と一緒に働いている。
- タイトルの「他の母子」の「母」とは、先月から一緒に働いている夫の職場の同僚女性。
- 同僚女性は、中国出身だが、日本語はペラペラ。
- 同僚女性母子と、投稿主の夫と娘の4人で外出した旨を、娘の口から聞かされた。
- 夫からは、事前・事後ともに報告がない。
- 夫婦仲は上手くいっていない。(詳細は不明)
回答欄には、私が抱いた感想と同様、夫を非難する声と投稿主の女性に同情する声が数多く集まっている。
だが、その一方で、少数だが夫婦仲が上手くいっていない点に焦点を当て「家の中を居心地よくする努力を」や「夫婦仲の改善を」と言った、中立的な意見や投稿主の夫寄りの意見もちらほらと投稿されている。
夫婦仲が上手くいっていない旨の詳細は明かされていないにもかかわらず、だ。
私個人の感覚では、投稿主の夫の行動は全くの裏切り行為である。
当然非難されるべき行為であり「投稿主に報告したら怒るであろうのが目に見えていたから、言わなかったのだ」との見解・意見は、的外れに私は映る。
だが、この手の「浮気」「浮気未遂」の相談について、しばし「家の居心地が悪いから」「夫婦仲が上手くいっていないから」と、容認もしくは浮気をする人間に同情的な人の意見は、珍しいものではない。
けれども、と私は思う。
「家の居心地」や「夫婦仲」はどちらか一方が責を負うものでは決してない。にもかかわらず、「家の居心地」や「夫婦仲」の責を一方だけに問う意見はよく聞く。
そうして、その手の意見の主語はたいてい「妻」だ。
妻の妊娠・育児中のの浮気についても、「妻が夫の相手をしていないからでは??」と中立な立場で分析しつつ、遠回しに妻を非難する人もいる。
この論理は、何か違うなと、私には思えてならない。
確かに、妻が
- 関係修復を望んでいる
- 離婚は望んでいない
- 子供がまだ小さい
- 専業主婦もしくは収入が安定しないない・十分ではない
のであれば、「前向きかつ建設的な意見」なのかもしれない。
しれないが「健全な意見」では決してないように私には思えてならない。
そもそも、この場合の「家の居心地の良さ」とは、「妻が家事・育児を完ぺきにこなす」であり、「妻が夫に不平不満を言わない」であり、「要所要所で妻が夫を立てる」との意味である。
夫にとって、非常に都合がよすぎる印象が私にはある。
もっとも「浮気」ではなく「暴力を伴うDV」「パワハラ・モラハラ・セクハラなどの各種ハラスメント」「いじめ」であったとしても「被害者にも非があるのだから」「そういう環境を作った被害者にも非がある」と被害者の責を問う声はまだまだある。
「他人は変えられない、変えられるのは自分だ」との真理を突き詰めた結果だ。
話をもとに戻すが、そもそも、「家の居心地をよくするため」に夫に意見を言えなかったり、不快に思った出来事や気持ちを夫に素直に伝えられないのであれば、その居心地の良さは間違った居心地の良さであって、ものすごく不健全だと私は思う。
そんな間違った居心地の良さを、都合よく妻に求めるのは、私には違和感でしかない。
ないが、そんな不健全な都合の良さを妻に求める人はまだまだいるのが現実だ。