ブラック企業は、社員だけでなく社員の家族をも搾取している。
夫の会社は、いわゆるブラック企業だ、と私は思う。
少なくとも、私が働いていた当時、私はそう思っていた。
例えば、残業しても「残業代をあまり付けるないように」と、定時にタイムカードを押した後、残業するように指導があった。
私の業務内容以上に残業している旨を、直属の上司A(創業者の親族で、会社の数字を全て動かしていた人)に指摘されたためだ。
しかも、別の上司Bはそんなおかしな指導を私が受けているのを知っていて、見て見ぬふりをしていた。(立場上、当たり前の反応ではあるのだけれども)
休日についても、いろいろあった。サービス業であったため、休日は週1日の店舗の定休日以外に、月に3日か4日代休が取れたのだが、その代休を取っても取っていなくても給料は変わらなかった。
その代休をいつ取得するかは常に上司Bの許可が必要で、その上司Bのスケジュール次第で、希望の日に代休を取得できたり、できたなかったりもした。結果既定日数の代休をとれない月も多々あった。
そんな会社に夫は今も勤めている。
私が在籍していた当時、独身でかつ私の職種には後輩がいなかったのもあって(他の職種社員はきちんと残業代をもらっていたようだし、代休もきちんと既定の日数取得していたようでもあった)、「自分の能力が低いのが悪い」と自己完結していた。
当時の夫も、きちんと残業代をもらい、代休も既定の日数きっちり取得していたからだ。
けれども、今の夫は違う。
立場が変わり、どんなに残業をしても、定時前に出社しても(仕事がさばけないからと朝一に出社するようなった)、代休を既定の日数取得しなくとも、給料は変わらず。いや、厳密には以前の給料より下がっている。
夫の無償の労働(厳密には違うが、あえてこう表現させてほしい)の一番の被害者は、やはり夫だ。
けれども、厳密には、これは夫だけの問題では決してない。
拘束時間が増えても、給料は上がらないのだ。
夫の家事・育児に費やせる時間は当然減るが、その分給料が増えるわけではないので「お金で解決」との選択肢は持てない。結果、その負担分が妻である私に寄せられている、そう思えてならない。
私自身が仕事を始めてからと言うもの、より一層強く、この負担感について不満を抱くようになった。
明日明後日と、夫は珍しく連休だ。だが、夫が夫の父親から頼まれた仕事の案件を勤務時間中に処理しきれず(手を付けられるのが月をまたいでしまうため)、プライベートで処理する段取りになっている。きっと父親からはお金は受け取らず、自分の趣味の時間をきっちり取りつつの作業になるので、休日が丸一日潰れるのだろう。以前にも似たケースがあったので、容易に想像できる。
結果、私の貴重な「一人でお風呂に入る」時間が奪われる形になるのだろうと想像すると、思いは複雑だ。
これは、会社だけの問題ではなく、夫自身の働き方だけの問題でもある。夫の休日の過ごし方の問題でもある。
だが、夫の会社がきちんと休日を保証してくれ、給料も出してくれれば、「お金で解決」の選択肢が増え、私のもやもやも少しは処理できるのではないか、と考えてしまう自分がどうしてもいる。