「優しい嘘」
以前、上の娘からこんなニュアンスのことを言われた。
「(相手を傷つけないための)優しい嘘だったら、ついてもいいんだよ」
どこからそんな言葉を仕入れてきたのかと、衝撃を受けた。
私たち大人からか、テレビからか。それとも自分で考えついたのか。
娘の話をよくよく聞くと、仲の良い友達から「まえーに」教えてもらったらしい。
その時私はすかさず娘に、
「どんな嘘も、嘘は嘘だから吐いちゃだめだよ。相手を気付つけてしまうことがあっても、嘘はついちゃいけないよ。もし相手を傷つけてしまうことがあったら、嘘を吐くんじゃなくって、相手を傷つけるない方法を考えたり、行動をとらないといけないよね」
的なことを返した。
けれども、大人としてはついつい、状況を自分にとって都合よく解釈して、「相手のためを思って」「相手が傷ついてしまうから仕方なく」という屁理屈のもと「優しい嘘」をついてしまうことはままあるなぁ、とも思った。
自分がされて嫌なことはしない。はもちろん、子供がされたりしたりして嫌なことは、大人である自分もしない。ということを徹底することって難しいけれども大事だな、と改めて考えさせられる出来事だった。
兄弟がいる家庭では、あるあるなのだろうか。
「優しい嘘」ではないかもしれないけれども、よくある「兄弟に内緒でおいしいものを食べたことを、兄弟に内緒にする」経験はかつての私にもあるし、それはとても楽しい記憶として自分の中に残っていたりもする。
もしかしたら、自分の娘達に対しても、上の娘には時折「○○ちゃん(下の娘)には内緒だよ」なんて声掛けを、してしまう日が来るのかもしれない。
いや、気が付いていないだけで、すでにしているのだ。その自覚がないのは怖いなと、今改めて思う。
もっとも、何をもって「優しい嘘」なのかは人それぞれなのだろうけれども。
嘘なら嘘で、最後までばれない嘘をついてほしいな、と大人の私は思う。
後でその嘘に気付き、その嘘の裏にある相手の複雑な心情を自分自身で想像することほど、みじめなことはないな、とも思うからだ。
子供は残酷だ。
彼ら彼女たちの世界では「○○ちゃんには内緒だよ」とか「みんなには内緒にしようね」という言葉が日常的にそうして悪気なく飛び交っていたりもする。
それはよくないな、と思いはするのだけれど、どこまで子供たちの世界の話に親の私が踏み込んでいいのかな、とも思ってしまう。自分の子供に「優しい嘘でもよくないことだ」教えるのは良しとして、他人の子供にまでそれを押し付けるのはどうなのか、とも思う自分がいる。
今更ではあるのけれども、幼稚園の先生に相談すべき話題なのだろうか??
いつだったか。娘の友達が発した「優しい嘘」にが娘が傷ついた姿を目の当たりにしたことを唐突に思い出してしまい、ちょっともやっとしている。