子供を理由を問わず気軽に預ける場所・人がない、いない。
※育児放棄をする保護者を擁護する趣旨の記事ではありません。
また、痛ましい事件が起こってしまった。
この手の事件の主語はほとんどが母親だ。いつも父親の影は極めて薄い。
続報によると、この母親は飲食店の店員に「子供は預けた」と嘘を吐いて飲み歩いていたようだ。父親が当時どうしていたかは、私がこの記事を書いている時点では明らかにされていない。
私は車内に子供を置き去りにし、飲み歩く母親を擁護するつもりは毛頭ない。
ないが、この手の痛ましい事件の背景には、母親が親が「理由を問わず、気兼ねもせず、思いついたその時に子供を預けられる場所・人がない、いない」問題もあるように、私には思えてならない。
もっと欲を言えば、付け加えて「無料」であれば、言うことはない。
もっとも、そんな理想が叶ったからと言って、悲しい事件がゼロにはきっとならないだろう。
ならないだろうが、少なくはなるだろう。家で寂しく留守番をする子供も減るはずだ。
すでに「保育園」や「ベビーホテル」「ベビーシッター」「公的なヘルパー制度」等もあるにはあるが、金銭面や事前東特などの面倒がある。まだまだ、決して気軽に利用できるサービスでも制度でもない。
夫や自分の親を頼る手もあるにはあるだろうが、
- シングル家庭である
- 夫が出張中、単身赴任である
- 親の住まいが遠い
- 親との関係性が良くない
- 親に健康上の問題がある
等の理由で物理的に頼れないケースもきっと多いだろう。夫や親が「それなりの理由」でなければ子供を預かってくれない家庭も多いに違いない。
多くの母親にとって、「気軽に」「理由を問わず」子供を預けるのは、非常に難しい。
ニュースの中の母親は「パチンコ」や「飲み歩き」「旅行」「外泊」を理由・きっかけで事件を起こしている。
逆を言えば、それらの理由では子度を持を預かってくれる場所・人がない、いないとも言える。
母親は子供抜きにして「パチンコ」にも「飲み歩き」にも「旅行」にも「外泊」をしていけない、との考えは正論だ。
だが、一方で父親にとってのそれらの行為は母親にとってのそれよりも、格段にハードルが低い。
この矛盾を抱えたまま、母親にばかり正論を押し付けるのは、何か違う気がする。
一番身近な人間である、夫や自分の両親でさえ、これらを理由に子供をも預かってもらうには、非常に難しいように私は思える。
少なくとも、すべての夫や親が、理由を問わず気兼ねさせずに子供を預かってはくれないはずだ。
嘘を吐くか、事前準備を念入りにするか、後に埋め合わせをするかしないと難しいかもしれない。
だからこその、車内放置であり、置き去りなのではないだろうか??
私は、幸運にも「パチンコ」にも「お酒」にも「旅行」にも「外泊」にも強い興味はない。ないからこそ、強い葛藤もなく今まで来れているだけなのかもしれない。
私は、この手の事件を見聞きするにつけ、いつもそんな風に考えてしまう。
自分にとってのガス抜きや、趣味が、家の中で完結できるからこそ、私は他人事として、事件の中の母親を非難できるのだ。
私の夫には、子供が生まれてからも子供抜きの「旅行」や「飲み会」「長時間の趣味ための外出」の機会が数多くあった。
一方で、私にはその機会がゼロに等しかった。それは、それらがなかなか叶わない様々な条件や環境があり、そうして、夫への気兼ねと、親の主義(仕事や通院、家族のための買い物以外の理由での子供の預かりは基本しない)があったからだ。
「できるけど、しない」と「できないから、しない」では心持が全然違ってくる。
先日の夫の一泊二日の出張の際、夫は帰宅後「仕事は夕方の5時には上がり、一人で居酒屋で食事をし、夜は映画を見て夜更かしした」と楽しそうに話してくれた。それができないし、そんな機会も当分訪れない私に向かって。
だからと言って、子供を放置して自分だけ外出していいわけでは決してないのだけれども。