長寿子供向けアニメの中の母親と子供達。
私は昔からアニメや漫画が好きだ。
大人になってからは流行りのアニメは見ないが、週末の夕方に放送されている自分が子供の頃からの馴染みのあるアニメ番組、例えば「名探偵コナン」「ドラえもん」「ちびまる子ちゃん」「クレヨンしんちゃん」「サザエさん」あたりは出産前からタイミングが合えばよく見ていた。
おかげで出産後、子供達と一緒にこれらのアニメを見るのは私にとって苦でも何でもない。むしろ、楽しい時間だ。
さて、よくよくこれらアニメを見ていると、今現在自分の置かれている状況とのあまりの違いに、ちょっとびっくりする。
よく言われるのが、「母親が専業主婦」だったり、「庭付きの持ち家住まい」だったりする点だが、それだけではない。
時代(2、30年前から、下手すると原作漫画は40年以上前に連載を開始している)を反映していてか、子供と親との距離感が全く持って「近くない」のだ。
おまけに、生活面ではなんだかんだ自立していている。
登場自人物の年齢設定が絶妙なのだ。
あえてのその設定なのか、偶然なのかはわからないけれども。
乳幼児の場合は、
- 赤ちゃんは基本ミルク。
- 離乳食は基本食べない。食べても極端な好き嫌いはない。
- 夕食、お風呂のタイミングで父親が帰宅。
- お風呂は父親と。
- トイレは基本自立している、もしくは完全にオムツ。
- 食事面では、沢山の好き嫌いはなく、座って大人と同じメニューが食べられる。
小学生の場合は、
- 一人でお風呂に入れる。
- 自分の部屋で一人で寝られる。
- 宿題をしない、時間ルーズ(遅刻をしがち)なのは、子供の努力不足、注意不足に終始。
なのど「傾向がみられる。
もちろん、アニメはフィクションの世界である。アニメにリアリティを求めるのもナンセンスだ。リアリティに着目してしまったら、アニメのストーリー自体がそもそも成り立たない。
それでも、「親との距離感」など、現在自分の置かれている育児とのギャップに違和感や驚きを覚えるシーンは多い。
自分自身の子供時代を思い返してみても、
「ここまで親にべったりだっただろうか」
「こんなに親に構ってもらっていただろうか」
「こんなに付きっ切りで親に勉強を見てもらっていただろうか」
などの疑問が残り、何とも言えない違和感を抱く私だ。
もっとも、物心ついている頃にはある程度生活面が自立しているのは当然だし、自分が都合よく記憶を取り違えている可能性もある。家庭環境の違いもある。「庭付き一戸建て、父方の祖母と同居」の生活と、「庭なし賃貸、核家族で母方の祖父母と近居」の生活とでは、親との距離感が違うのは当然ではある。
ではあるのだけれども。両親との会話のちょっとした中で、昔の自分たちの育児を引き合いに出し、私を注意する両親を前にすると「???」と思うことは多い。
具体的な例を挙げてみてもそうだ。
もっとも、アニメの中の「私が見た限りの話では」にはなってしまうのだけれども。
「名探偵コナン」では、低学年のコナンとその友達が、それぞれの親を伴わずに夜遅くまで出歩いたり、遠出したり、イベントに参加したり、さらには宿泊したりするエピソードが山ほど出てくる。
おまけに、コナンは中身は高校生だ。宿題や、歯ブラシやお風呂なのど生活習慣で蘭や小五郎にお小言を言われるシーンもない。
「クレヨンしんちゃん」では、幼稚園児のしんちゃんとその友達が、同じくそれぞれの親を伴わずに公園に遊びにったり、商店街にお使いに行くエピソードだらけだ。
夕食やお風呂の時間には父親が帰って来る日が多く、母親一人で慌ただしく二人の子供をお風呂に入れるシーンは私は見たことがない。(絵図らの関係もあるのだろうが)
おまけに、妹のヒマワリは基本ミルク育児で、離乳食も割とすんなりいっている様子(多少の好き嫌いはあっても、全く食べない。食べるものがワンパターンとの悩みはなさそう)が絵描かれている。
また、「となりのおばさん」との交流も密で、気軽に長女のひまわりを預けるシーンが登場する。
「サザエさん」でも、未就園児のはずのタラちゃんも、母親であるサザエさんと付きっ切りで遊ぶシーンは少ない。
おまけに、好き嫌いなく大人と同じ食事メニューを毎食きちんと正座して座って食べている。
「ドラえもん」や「ちびまる子ちゃん」になると、学年が多少上がるため、「子供のお世話としての親の慌ただしさ」は描かれない。
描かれていないが、親は子供の至らなさを「口で注意する」だけで親自身の具体的な行動改善や環境改善には乗り出さない。
親が子供と一緒になって勉強するシーンも、勉強を教えるシーンも登場しない。
ここまで子供たちが自立し、心身ともに距離が離れ、子供の問題を子供の問題と割り切ることができていたら・・・・・・
例えワンオペ育児であったとしても、もう少し肩の力を抜いてできるかもしれない、と思えてならない。
もしかしたら、育児のイライラの根っこには、こうした「美化された自分の子供時代」や「長寿アニメで描かれる子供の姿」と現実の子育てとのギャップもあるのかもしれない、と思う今日この頃の私だ。