自己肯定感を高めるのは難しい、と認める。
心のコップ中の水が空っぽの状態では、人にコップの中身を分け与えられない。
心のコップに水を満たすためには、誰かに分け与えてもらうか、自分で満たすしかできない。
しばし、育児書などで、
「子供の自己肯定感を高めることは大切です。小さいうちはたくさん甘えさせて(甘やかしてではない)あげましょう。褒めてあげましょう。認めてあげましょう。子供の心が満たされていくのは、子供の自立に繋がります」
といったニュアンスのアドバイスを見る。
子供心をコップに、コップの中身を自尊心や自己肯定感に例え、親が心のコップに水を満たしてあげることで、自立が促される、というのだ。
(特定の書籍やサイトを参考にして書いているわけではないので、解釈が違っているかもしれないけれども、私なりの解釈ではという話で)
水を与える側の親の心に水が満たされていない場合、親本人が努力をしてその術を獲得すべきであり、身近なパートナーや親の親が与えるべきだ(その努力をすべきだ)と決してならない。
昨今、書店やネットには「自己肯定感」に関する書籍やサイトが、溢れている。
「自己肯定感を高めるためのハウツー」も色々と紹介されている。
新しい書籍やサイトに書かれているハウツーが、毎回新しい独自の物であるわけではない。
それでも、切り口を変え、表現方法を変え、媒体を変え、次から次へと新しい手法が紹介されているということは、万人にとって「簡単」で「誰でも」「すぐ」できるわけではないからだろう。
ダイエットしかり。新種の健康方法しかり。
本当に万人にとって「簡単」で「誰でも」「すぐ」できる方法が確立されているのならば、次から次へと新たなハウツーも生み出されなければ、改めて書籍やサイトで紹介されはしない。
他人からの日々にの言動で、自分の自己肯定感を高めるのを期待するのは不可能だ。
変わるためには、自分が行動するか、考え方を改めるしかできない。
皮肉だが、現実はその行動力、変わる勇気が持てないが故に、自分に自信がなく、好きになれないのだけれども。
当たり前と言えば当たり前だが、自己肯定感に関する書籍やサイトの中では、
- 自己肯定感は「必ず」高められる。
- 自己肯定感は「簡単」で「誰に」でも「すぐ」に高められる。
- 自己肯定感を高めるのは簡単ではないが、行動に移せば結果は「必ず」現れる。
とされる。
だから、自己肯定感を高められないと、落ち込む。焦る。さらなる自己嫌悪に陥る。
間違っても、
- 自己肯定感を高めるのは難しい。
- この方法では自己肯定感を高められない人もいるかもしれない。
- 医者に、カウンセリングにかかったほうが良い。
とは誰も言わない。
あくまで自分の問題なのだから、自分で解決すべき、できるはずだとの大前提があるからだ。
けれども、個人的にはこの大前提が、自己肯定感の低さで悩む人の一部をさらに苦しめているように思えてならない。