日々、思うこと、考えること。

子育て中に、考えてしまうあれこれ。結論の出ない、個人的で偏った見解の考察が主です。

「職場」はだめで、「妻や妻の両親」はよい理屈。

昨日の朝、テレビのワイドショーで父親の育児休暇についての話題を取り上げており、夫と「男性の育児休暇」について話す機会があった。

昨日は仕事だったのだが、閑散期だったのもあって、出社が一時間遅れ、たまたま夫婦二人でテレビを見ていたのだ。

その際、夫は「男性が育児休暇が取れない、取りづらい現実」に大いに共感していた。

いわく、

「自分の会社のような中小で、人員が普段からいっぱいいっぱいな職場では、育休なんて机上の上の空論だ」

とのこと。

「大企業だからこそ許される制度だ」

なのだそうだ。

夫の会社はサービス業だ。

中間管理職に就く中高年お客さんの中には、「部下の子供を理由に早退したり、遅刻したり、休む姿が不快だ、情けない」と言った愚痴や不満を漏らす人もちらほらといる、らしい。赤の他人だからこそ打ち明けられる本音だ。

 

私自身、夫と同じ会社にいたので、夫の言わんとしている旨は非常に理解できる。

私が知る限り、夫の職場では正社員として産休・育休を取得し、正社員として復帰したた女性社員はいない。私が在職中、二人の先輩女性社員が結婚・妊娠しているが、一人は退職し、一人はパート職員に変わっている。

その後転職した、夫の会社より若干規模の大きい会社(それでも中小)でも、妊娠報告の際正社員からパートに代わるよう上司に打診され、受け入れた経験を私はしている。ちなみに、当時その会社はリストラを募集していた。故に、や無得ない選択だったと私は今でも思っている。

 

10年程前の実体験ではあるが、私にとって、女性正社員の産休・育休も「当然」でも「当たり前の権利」でもない、のが実感だ。

 

夫の言わんとしていることは理解できる。

理解できるのだが、一方で

「職場に迷惑をかけるのはだめで、妻(完全ワンオペ)や妻の両親(里帰りや通いのサポートを含め)に迷惑をかけるのはよい理屈って、何なのだろう」

とふと疑問に思ってしまった私だ。

 

 

「母親は産後、パートナーである父親のサポートなしで家事・育児を、多少のストレスを伴うが両立できる」のが大前提としてあるからこその「男性の育休不要論」だ。

もしくは「母親の産後は、妻の母親もしくは夫の母親のサポートで十分事足りる」との先入観も大いに影響しているのかもしれない。父親の出る幕はない、との認識があるのだろう。

 

だが、現状は違う。

確かに、一部、全くのストレスを伴わず、多少のストレスを伴いつつも、産後自分の力のみで家事・育児を両立できる女性がいる。

お金を使い、便利家電・便利サービスを駆使し、家事・育児を両立できる女性がいる。

故に、「産後、サポートなしで家事・育児ができません」との本音を聞き入れてもらえない空気が、まだまだある。

 

 と同時に「私は(妻は)産後、一人で家事・育児を両立しました」との体験談を語る人はどこか誇らしげだ。

「産後、母親一人で家事・育児を両立する」のは正しいとの、価値観があるからだろう。

その様は、どこか「男性の育児休暇取得」の賛成派の態度や姿勢と似ている。「できる側の人間」だから主張できる正論である点で。

 

少し前、SNS上で「産後うつは甘えだ」と発言時物議をかもした女性がいた。

ただ、声に出さないだけで。この日本でも、内心・同様の価値観を持つ人は老若男女かかわらずきっと一定数いるのだろう。

 

だからこそ、「男性の育児休暇取得」が賛否両論の議論になってしまうのだ。

 

「男性の育児休暇取得」が個人の努力云々では難しいように「産後、母親が一人で家事・育児をする」のも個人の努力云々では難しいのだ。

結局、根っこは同じなのだ。